「スミレさん遅いなぁ・・・」

見張りについていたライトがつぶやく

「スミレさんどこかいっちゃったのかい?」

ふぎんがライトの隣に座る

「ふぎんさん、起きてたんですか?」

「ん〜、先日風ちゃんにノカン棒でタコ殴りにされた傷がいたくて・・・」

「た、たいへんですね・・・」

「ほんとに大変だよ・・・男ならわかるよねぇ?」

同意を求めるふぎん

「ま、まぁ・・・」

曖昧にうなずくライト

「ところでさ、スミレさんどこいったの?」

「まわりにモンスターがいないか偵察にいったっきりで・・・」

「ふぅむ・・・まぁ、スミレさんなら大丈夫だと思うけどなぁ」

ふぎんが言う

「なぜです?」

「ん〜スミレさん、たぶん実力の半分もだしちゃいないと思うんだよね。たまにすごい動きを見せるときがあるんだけど、それを見たら相当な実力者ってのがわかるよ」

「そ、そうなんですか・・・まったく気がつきませんでしたよ・・・」

「まぁでも、万が一ってこともある。ライト君ちょっと周りを見てきてくれない?」

「わかりました!ちょっと見てきます」

ライトが立ち上がる

ライトが立ち上がると同時に前方の草むらがガサガサと音を立てた


「むっ!?」

ふぎんが立ち上がる

「モンスター!?」

ライトも身構える




しかしそこから出てきたのはモンスターではなく、スミレだった

「スミレさん!?」

二人が声を揃えて言う

するとスミレは二人の声に反応したようにその場で倒れこんだ

「だ、大丈夫ですか!?」

ライトがかけよる

「ふぎんさん!!スミレさんはどうしたんですか!?」

症状を確かめるライト

「・・・ん〜」

ふぎんが考え込む

「ど、どうなんですか?」

「・・・ライト君」

ふぎんがライトのほうを見る

「は、はい・・・」

緊張するライト







「スミレさんってさ、いい女だと思わない?」

「はっ!?」

声が裏返るライト

「いやさぁ、どっからどうみてもいいよ、うん。間違いない」

「でさぁ、相談なんだがちょっとだけ脱がしてみないかい?」

「ええええ!?」

「えええじゃないよライト君。据え膳食わぬは男の恥っていうしさ」

うんうんとうなずくふぎん

「君はまだわかってないようだね。女体の神秘というも・・ガハァッ!!!」

突如ふぎんの後方からノカン棒が飛んできた

ノカン棒をまともに受けて地面に倒れこむふぎん

「はいはい。ふ〜くんはこっちね」

風結びがふぎんをズルズルとひっぱっていく

「ふ、風ちゃん・・・起きてたのか・・・」

「ライトさんもライトさんですよ?ちゃんと止めてください」

「す、すいません・・・」

「じゃあちょっとうるさくなるかもしれないですが、おやすみなさいです」

「ふ、風ちゃん・・・うるさくなるって・・・」

「さぁ?死ぬかもね」

真顔な風結び

「ら、ライト君!!こうなったのは元々君のせいだろ!?」

「ええっ!?」

「風ちゃんにちゃんと説明してくれぇぇぇぇ・・・・・・」

ふぎんの声が遠ざかっていく

「ふぎんさん・・・って、スミレさんは大丈夫なのか!?」

思い出したようにあわてるライト

「・・・大丈夫のようですね」

ライトが後ろを振り向くとそこにはメタスが立っていた

「安心してください。ふぎんさんはああみえても優秀な聖職者です。あの人が治療をしないということは、気を失っているだけなのでしょう」

メタスが言う

「そ、そうですか・・・よかった・・・」

ほっと胸をなでおろすライト

「しかし・・・聖職者としてさきほどの行動はよろしくないですね。」

「あ、やっぱり聖職者ってそういう職業ですよね?」

「もちろんです。ふぎんさんのようなふしだらな人が聖職者っていうのはきわめて稀なケースですよ」

メタスがすこし怒りながら言う

「さて、それじゃあこのまま寝かしておくのもなんですし、奥のほうにでも運びますか」

「わかりました。じゃあ僕が腕をもつのでメタスさん足をもってもらえますか?」

「嫌です」

「はっ!?」

またもや声が裏返るライト

「私は女性の体に触れてはならないのです。そう神に誓いました」

「えっ・・・でもこういう場合は・・・」

「ダメです。ライトさん一人で運んでください。修道士でしょう」

「ま、まぁそれはそうですが・・・」

「それじゃあ、明日も早いですから早く運びましょう」

(運びましょうって・・・)

なんだ腑に落ちないライトであった


















翌日

「あーーーー!!良く寝た!!みんな目覚めたかい!?」

あの騒ぎでまったく動じず寝ていたマリーネが言う

「すごいですね、メタスさん。あれだけの音で起きないなんて・・・」

「まぁ、あれがマリーネさんですから」

苦笑気味に言うメタス

「おはようございます」

スミレも目を覚ましていた

「おはようございます。スミレさん具合はどうですか?」

ライトがたずねる

「う〜ん、良く覚えてないんですよね・・・」

「でもまぁ、こうやって起きれるってことは大したことはなかったんですよ」

スミレが元気に口を動かす

「ね?ライトさんいったでしょう?ふぎんさんは優秀な聖職者だって」

「あれ?そのふぎんさんは?」

「おはようございまーす!」

風結びが現れた

「あ、おはよう・・・!?」

風結びの後ろには前日よりもあきらかにひどくなっているふぎんの顔があった

「・・・ライト君。恨むよ」

腫れあがった顔でライトを見る

「そ、そんな・・・」

かくして一向はサラセンへと再び歩きだした