「おし、着いたね!」

ふぎんが言う

ふぎんたちはルアスの東の門にたどり着いていた

門の前には門兵がいるはずだったが・・・

「あれ?門兵がいない・・・」

なぜか東門には門兵がいなかったのだ

「門兵がいないことなんてないのに・・・どうしたんだろう」

風結びが不思議がる

「う〜ん・・・たしかにいないってことはないんだがなぁ・・・」

「とにかく、中に入りましょう!もう腹が減って減って!!」

アカハナがズンズンと突き進む

「あ、アカハナくん!ちょっとまって!」

それにつられてふぎん、風結びも中に入っていった

















ふぎん達が中に入るとそこには普段とは違った様子が目の前に広がっていた

「もうすぐ騎士団が出動するらしいわよ・・・」

「ここにもくるのかしら・・・」

「すぐに逃げる準備しとこうかな・・・」

ボソボソと街中のいたるところから同じような声が聞こえてくる

「騎士団が出撃する・・・?」

ふぎんたちもその会話に特に聞き耳を立てなくても情報を得ることができた

「ルアスの騎士団が出動するって、かなりの大事じゃないんですか?」

アカハナが不安そうにふぎんを見る

「たしかに大事みたいだね・・・大国ルアスがこれだけ動揺しているんだから・・・」

ふぎんたちが広場で立ち止まっていると

「戦える者!!いますぐに王宮前まできてくれ!!」

一人の騎士が声をあげる

「戦える者・・・やはり、何かがここに向かっているようだね」

「モンスターと戦うことができる者!!いますぐに王宮前にきてくれ!!」

なんども大声で叫ぶ騎士

「モンスターだって・・・!?」

「俺まだ死にたくない・・・」

「戦いが終わった暁には、王様から報酬がでる!!」

「王様って、何年も姿を見せてない王様なんて信頼できるかよ・・・」

「大体、報酬って何がもらえるんだよ・・・・」

広場のいたるところからヒソヒソと声が聞こえてくる

「・・・どうする?ふ〜くん」

風結びがボソッと声をかける

「う〜ん・・・」

考え込むふぎん

「風ちゃんがいればたいていのモンスターは倒せると思うけど、なにせあれだけの騎士団が傭兵を募集するくらいだしね・・・」

「相手がどのモンスターなのか、数はどれくらいなのかまったく情報がなさすぎる。ここは悪いけど、回避しとくべきかなぁ」

「・・・ふぎんさん」

アカハナが口を開く

「ん?なんだい?アカハナ君」

「・・・俺、傭兵に行きたいんですが」

その言葉を聞き、驚いた表情を浮かべるふぎん

「本気かい?アカハナ君」

「ええ。言ってなかったかも知れないけど、ここは俺の故郷なんです」

「そうなのか・・・」

「俺の力なんてたかが知れてる。だけど、このまま逃げるのはもう嫌だ!」

アカハナの声が大きくなる

「・・・ふ〜くん。行ってみようよ」

風結びも同意する

「本当に?風ちゃん」

「うん。このままルアスがモンスターに占拠されでもしたら、たぶん世界のバランスが崩れると思うの」

「ふぅむ・・・」

「大丈夫。危なくなったらウィザードゲートで逃げれば大丈夫だから」

(・・・それは詠唱なしで唱えるつもりかい?風ちゃん・・・)

「それに、アカハナさんの意気をかってあげなきゃ!ね?」

ニコッと笑みを浮かべる風結び

「・・・風ちゃんがそういうのなら仕方ないね。」

ふぎんが顔を上げる

「よし、微力ながら行ってみるか!アカハナ君!一緒にルアスを守ろう!」

「あ、ありがとうございます!!」

力強い握手を交わし、三人は傭兵の下へと歩を進めたのであった



































「さぁ、着いたな!」

ブルーが足を止める

「道中モンスターがでなくてよかったねぇ」

「まったくです。これも神の思し召しでしょう」

そういって祈りをささげるメタス

「はいはい。それは教会に行ってやってね、メタっち」

そういってすたすたと歩いていく三人

「す、すこしまってくださいよ!」

それにあわててついていくメタス

「戦える者!!いますぐに王宮前まできてくれ!!」

四人が広場に到着すると声をからしながら叫ぶ騎士の声が聞こえてきた

「きみは・・・」

ブルーが騎士に近づく

「あ、あなたはブルー隊長!?」

「何があったんだ?」

ブルーが騎士を落ち着かせる

「実は・・・辺りを巡回していた者から連絡がありまして」

「それで?」

「近頃、龍がでるとうわさのルアスの森から大量のモンスターが押し寄せていると報告が」

「なんだと!?それは本当か!?」

ブルーが声を荒げる

「残念ながら・・・」

「で、状況はどうなってる?」

「現在、王宮にて騎士団の緊急招集がかかり、先ほど第一陣が東門に向けて出発したところです」

「それでか・・・」

ブルーは道中で出会った騎士団を思い出していた

「しかし、ルアス騎士団が傭兵を募集するほど敵は多いのか?」

「詳しい確認はとれてはいませんが、現在、騎士団長以下、第一騎士団から第六騎士団まで王の命にて出払っているようなのです」

「なんだって!?そんな大部隊を動かして一体何をするつもりなんだ?」

「わ、私は何も知らされておりません・・・」

「そうか・・・」

「ブルー隊長、ルアスの為に、騎士団の為に共に戦っていただけませんか?」

騎士が頭をさげる


その言葉を聞きブルーが一歩前にでる

「もちろんさ。さくらの名、そしてこのTの名にかけて、このブルー、ルアスの為に立ち上がろう!」

普段は見せない真剣な表情を浮かべているブルー

「おお〜、ブルーさんやっぱきめるとこはきめるんだねぇ」

「ほんとほんと。一瞬誰!?って思っちゃった」

「二人とも、ブルーさんに失礼ですよ・・・」

「あ、ありがとうございます!!現在、王宮に傭兵達が集まっているようなのでブルー隊長は傭兵達の指揮をお願いできますか?」

「傭兵達の指揮・・・しかし、俺がいきなりいってわかってくれるのかな?」

「今第11騎士団の副隊長がとりしきっているはずです。そこでこの紙を見せれば、わかってくれるはずです」

そういって紹介状らしきものを受け取るブルー

「わかった。君もがんばれよ!君の働きでルアスの運命は決まるかもしれないんだ!」

騎士の肩に手を置くブルー

「は、はい!ブルー隊長もお気をつけて!!」

敬礼をする騎士

それに無言で敬礼で返すブルー

「みんなすまない。俺はここに残らなくちゃいけなくなった」

三人に向かって話すブルー

「何いってんだい」

マリーネが返す

「今の話を聞いてて、あたしたちが何もしないとでも?」

「そうだよ、まったく。逆にショックだよ」

「そうですよブルーさん。困りごとをほっとける性分ではないのでね」

「みんな・・・」

「行きましょう、ブルーさん。事は急ぎのはずですよ」

「・・・わかった。みんなの好意、ありがたくもらっておくよ。」

「でも、絶対に無理はしちゃいかんぞ?」

「わかってるって!さっさと終わらせて、みんなを探しにいくよ!」

「ああ、わかってる!」

そう言って一斉に走り出す四人

こうしてルアスの歴史に確実に刻まれるであろう戦いに身を投じる七人

それは七人にとってすばらしい経験となるのであった