「みんなよく来てくれた!」

集まった傭兵達の前でルアス騎士団の隊長らしき人物が声をあげる

「ふ〜くん、結構いるもんだね・・・」

風結びがふぎんに話しかける

「う〜ん、ルアス騎士団が傭兵を募集するくらいの数に20人で結構なのかなぁ・・・」

「それに周りの連中、明らかに戦い慣れていないと思うよ・・・」

ふぎんが見回す

「諸君!」

前にいる騎士が一段と声を大きくする

「今、我々のルアスに向かってモンスター共が進軍中である」

「このままでは、このルアスがモンスター共の手に落ちてしまうだろう!」

「それだけは絶対に避けなければならない!!」

ドンッと地面を蹴る騎士

「この戦いで多くの戦功を挙げた者には、王から多額の賞金がでようぞ!」

「みな、奮起せよ!!」

おおーーー!!という声があがる

そのなかでもアカハナの声は一段と大きかった

(アカハナ君気合はいってるなぁ・・・)

その様子を横目でみるふぎん

「現在、ルアスの森中部にて第8,9騎士団が交戦中である」

「諸君らには第8騎士団の援護を頼みたい。無論、敵を殲滅できる自信があるものはどんどんいってもらってかまわんからな」

(・・・ふむ。ようするに捨て駒になれってことか)

「では、これより出撃する!」

第10騎士団40名に傭兵20人を加えた一団はルアスの森中部へと移動を開始した












ふぎんたちが出発して2時間後

王宮には傭兵達第二陣が集まっていた

「おお、これはブルー隊長・・・来てくださったのですか」

「ああ、黙って見過ごすなんてできないしね」

傭兵達の前でブルーとルアス第11騎士団副隊長と言葉を交わす

「そうそう。これを見せろと言われたんだけど」

そういって広場で渡された手紙を渡すブルー

「・・・・なるほど。ブルー隊長、現場の指揮をお願いできますか?」

「ああ、まかせてくれ」

ドンと胸を叩くブルー

「誠に心苦しいのですが、指揮をお願いします。私たち第11騎士団は王宮で待機しておりますので・・・」

深々と頭を下げる騎士

「そうか・・・王宮を空にするわけにはいかないからな」

「わかった、傭兵たちの指揮は俺が執ろう」

「助かります・・・」

「みなのもの!現場の指揮はこのブルー隊長に一任する!」

傭兵たちに向かって言う騎士

「はじめまして。俺の名はブルー・T。至らないところもあるが、みんなで共にルアスを守ろう!」

「ヒュー、さすがに隊長やってるだけあるねぇ」

「ギャップがすごいよね」

「なぜあのような人が樽にはまったまま2時間もいるのでしょうか・・・」

ヘルサス達一同がはぁとため息まじりに息を吐く

「まぁ、こうなったときのブルーさんは頼れますから」

「うし、んじゃあさっさといこうかねぇ!」

「はやく帰って買い物しよう!」

(ブルー・・・T・・・・・・となると、あの一族の・・・)

(ふん・・・俺以外に戦力はいないと思ってたがな・・・)

ひとりブルーの名を聞いて驚く傭兵がいたのであった


















ふぎん達がルアスの森中部に到着したときはすでに戦闘が繰り広げられていた

「そんなばかな!?」

ふぎんが驚きの声をあげる

騎士達が交戦している相手

それはドロイカンの群れだった

「なぜこいつらがこんなところに!?」

通常、ドロイカン達の住処はルケシオン周辺である

しかもその数が半端ではない

ゆうに200は超える数がいたのであった

その為先に到着していた7〜9の騎士団はかなりの数を消耗させられ

残りは半数といったところまで追い込まれていた

「数が違いすぎる・・・ここは一旦引いて各個撃破じゃないのか!?」

ふぎんが騎士団の隊長に向かって言う

「何を言う!ドロイカンなど、いくらこようが我々の敵ではない!」

ブンッと腕を振るう騎士

「進めー!!一人一匹ずつでかまわん!!」

うおおおおおと地響きをあげ第10騎士団と傭兵たちがドロイカンの群れに突っ込んでいく

ふぎん達三人と隊長を除いて

「ちょっとまったほうがいい!ルアス騎士団がドロイカンにひけをとるとは思わないが、これだけやられているんだ!何かあると見たほうがいい!」

必死に訴えるふぎん

「ふん、やられた者たちは単に鍛錬が足りなかっただけだ。騎士の風上にもおけん」

「それは違うと思います」

風結びが横から入る

「みてください、あれ」

そういって騎士とドロイカンが交戦している場所を指す風結び

「はああああ!!」

大きな槍をドロイカンに突き刺す騎士

キシャアアと断末魔をあげて倒れこむドロイカン

「よし、次!!」

すぐに迫ってくる次のドロイカント交戦を始める騎士

しかし

突如後ろの方向からドロイカンの炎が騎士に襲い掛かった

「ぐあああああ!!」

炎に包まれ、たまらずに逃げ出す騎士

「そ、そんなばかな・・・!?」

騎士団の隊長が震えだす

「風ちゃん・・・これって・・・」

「うん、アンデット化ね」

「アンデット化・・・」

「この目で見るのは初めてだけど、そういうことが起こるってことは聞いたことがあるわ」

そう、単騎対単騎ではルアス騎士団に分があるのになぜ一方的に押されているのか

それはアンデット化にあったのだ

一度倒したモンスターが復活するなど夢にも思わず

背後から無防備な一撃を食らってしまえば

いくら強固な騎士といえどただではすまない

「風ちゃん、やつらを倒す手立ては?」

「アンデット化っていっても、倒せないわけじゃないのよ。」

「ただ、痛みを感じなくなってるから、動けなくなるまで攻撃してれば倒せるの」

「動けなくなるまで・・・か」

それまで黙って聞いていたアカハナが口を開く

「ふぎんさん、俺、いまならやれそうな気がします!」

剣を抜くアカハナ

「まて!アカハナ君!!」

「いきます!動けなくなるまで斬ってきます!!」

その場を勢いよく飛び出すアカハナ

「くそっ!!風ちゃん!援護おねがい!!」

「わかった!ふ〜くんはアカハナさんを見てて!私は自分でなんとかするから!!」

「了解!」

「うおおおおお!!」

アカハナがドロイカンに襲い掛かる

交戦するやいなや、真横に剣を払うアカハナ

それを食らって苦しむが、かまわずに炎を吐いてくるドロイカン

「くっ!!」

後ろにステップを踏み、炎を避ける

「それなら直接!!」

アカハナが大きく跳ぶ

ドロイカンの顔面よりも高い位置から剣を振り下ろす

「食らええええ!!」

しかしドロイカンが首を振り、切り下ろしを避ける

そのまま首を振るい、アカハナを地面に叩きつける

「いってえ・・・」

アカハナが背中をさする

「はっ!?」

アカハナが自身の上を見るとそこには炎が迫っていた

「マジカルシェル!!」

突如アカハナの体に魔法の防御膜が発生した

炎を跳ね返すまでとはいかないが確実に威力は弱まったようだ

かわまずに再度炎を吐き出そうとするドロイカン

しかし、吐き出す瞬間に顔面で光の爆発が起こった

「アカハナ君!!いまだ!!」

ふぎんのパージフレアに気をとられるドロイカン

「アカハナさん!剣に炎を付与したわ!!そのまま振りぬいて!!」

風結びが自身の魔力でアカハナの剣に炎を宿らせる

「うおおおおおおお!!!」

そのまま居合いに近い状態で剣を振る

ドロイカンの体に剣の威力と炎の熱が合わさった跡が刻まれる

キシャアアアと倒れるドロイカン






フレイムスラッシュ

剣に灼熱の炎を宿らせ、斬撃の威力、切れ味を増加させる剣技

熟練した戦士ならば単独で使える剣技だがアカハナは風結びの力をかりることでフレイム

スラッシュを使うことができた







「よし、次!!」

そういってドロイカンに背を向け次の獲物をさがすアカハナ

「アカハナ君!!今言った話を聞いてたのか!?」

ふぎんが大きな声をあげる

「あっ!?」

アカハナが再びドロイカンの方向を向いたときにはすでにドロイカンは立ち上がっていた

「ちいいっ!!風ちゃん!カーズを!!」

「わかった!」

そういって詠唱を始める風結び








しかし

突如ドロイカンに無数の風穴が開いた

声をあげることなく倒れこむ

「馬鹿が・・・戦場を見ればアンデット化することぐらいわかるだろうが」

倒れたドロイカンの影から一人の騎士が姿を見せた

「お、お前は!!」

ふぎん、アカハナはその騎士の姿を見たことがあった

「ふん、また会ったな。悪いがこいつらは俺が始末する!!」

戦況を一変させる力の持ち主が現れたのであった