「ふん・・・他のやつらにはしゃべるなよ・・・」

プレッシングが息を切らせながら言う

「しかし驚いた・・・・こんなに大きくなったのか」

ブルーが言う

「おしゃべりはあとだ・・・あの賊を片付けるぞ!」

プレッシングが立ち上がる

しかし

「あぶないっ!!」

ブルーがとっさにプレッシングの前に入る

重い大剣を盾で受け止めるブルー

しかし、勢いを完全に殺せずプレッシングもろとも後ろの飛ばされれてしまう

「ぐううう・・・・!?一体なんだ!?」

プレッシングが再度起き上がり吹き飛ばされた方向を見る

「なかなかいい技だが・・・今の俺を倒すには少し物足りねえなぁ」

そこには体を貫かれたはずだったテリエの姿があった

「ば、ばかな!?ピアシングスパインを受けて無傷だと!?」

驚きを隠せないプレッシング

「ああ、そこまで驚く必要はねーぜ。今までの俺なら確実に動けなくなってるか死んでたからな」

「・・・どういうことだ?」

「さぁなぁ・・・俺が話すまでお前が生きてたら答えは知れるとおもうぜ!!」

プレッシングに向け飛ぶテリエ

「くっ・・・!」

疲弊しきって思うように体が動かないプレッシング

テリエが勢い良く大剣を振り下ろす

それをまたもや受け止めるブルー

「テリエ・・・何があったかは知らんがもうやめろ・・・!!」

「相変わらず丈夫な盾と鎧だなぁ!どこで手にいれたか教えてほしいもんだぜ!!」

テリエがお構いなしに剣を振るい続ける

「わかっているだろうテリエ!俺が受け止めることだけに集中すれば、決着がつかないことくらい!」

テリエの斬撃をすべて受け止め続けるブルー

「それはどうかな、おやじぃ!!」

テリエがバックステップで距離をとる

「何だ・・・!?あいつに近接攻撃以外の手段はないはず・・・」

テリエが背中にしょっていた一本の刀を取り出す

それは今まで使用していた大剣とは違い細く鋭い刀だった

「一体何を・・・!?」

ブルーが困惑する

「はぁ!!」

テリエが高速で刀を十文字に振る

「なんだ・・・?」

ブルーがテリエに近づく

「あぶない!!横に飛べ!!」

プレッシングが叫ぶ

「ん?」

ブルーがプレッシングの方を見る

「ばかやろう!前を見ろ!!」

「えっ・・・?うおおおお!?」

何も当たっていないはずなのに、激しい音がしてブルーが吹き飛ばされる

「これぞ魔剣レーゼルソード!!俺の新しい力だ!」

「・・・剣自体に魔力が込められているのか・・・」

プレッシングが呟く

「ほお、よくわかったじゃねーか!」

そういいながら剣を振りかぶるテリエ

「わかったところでどうすることもできないんだがなぁ!」

プレッシングに向けて剣を振り下ろす

それを横に転がり回避するプレッシング

そのままブルーが飛ばされた場所まで下がる

「おい、動けるか?」

ブルーに話しかける

「あ、ああ・・・頭がくらくらするけど・・・なんとかな」

頭を抑えながら話すブルー

「相手が遠距離攻撃もできるとなれば長期戦は無茶だ」

テリエを見るプレッシング

「ピアシングスパインをダブルで叩き込む。お前なら使えるはずだ」

「・・・」

黙り込むブルー

「どうした?迷っている暇はない。ぐずぐずするな!」

「無理だよ」

「なぜだ?まさか疲れてるとかぬかすわけじゃないだろうな」

プレッシングがまくしたてる

「そうじゃない。使いたくても使えないんだ」

「なんだと!?」





「俺たちTの名を継ぐ者達は代々ルアス王家の守護者として仕えてきた」

「ああ、よく知っている」

「俺も代々そうしてきたように王家を守る盾となる予定だったんだがね」

「俺にはね、悲しいかな才能って物がないんだよ」

「・・・」

「だから当然一族の中じゃ落ちこぼれ扱いさ。王家とT族だけが使えるピアシングスパインが使えないんだからね」

「そしてついに勘当されちゃってね。一族の名誉を守る為にも仕方ないことだったんだろう」

「それでも俺はみんなを守る盾であり続けたかった。だからこうして騎士でいるわけさ」

「くっ・・・万策尽きたか・・・」

地面を殴るプレッシング

「大丈夫。今のテリエになら勝てるよ。昔じゃ勝てなかったけどね」

「何ぃ!?ピアシングスパインすらまともに通じない相手にどうやって!?」

ブルーに詰め寄るプレッシング

「まぁ、みてなよ。」

そういって立ち上がるブルー

「これをもっててくれ」

そういって盾をプレッシングに渡す

「お前・・・盾もなしにどうやって!?」

無言でテリエに対峙するブルー

「才能のないやつの力、みせてあげよう!」

盾も持たずに槍だけでテリエに突っ込むブルー

「ばかな真似はよせ!!死ぬぞ!!」

ニヤリと笑みを浮かべるテリエ

「おやじ・・・そろそろ決着といきたいんだな!!」

テリエがレーゼルソードを振りかぶる

「うおおおおおお!!!」

ブルーが声を上げる

テリエが真空の刃を繰り出す

それをよけようともせずにまともに食らうブルー

「ばかな!?なぜよけない!?」

プレッシングが言う

「ぐぅうう・・・!」

真空の刃をまともに受けながらもその場に踏みとどまるブルー

「もう一発だ!!」

テリエが再度レーゼルソードを振りかぶる

その場に踏みとどまったことにより、距離はかなり縮められていた

「いまだ!!!」

ブルーが高速の突きを繰り出す

「ば、ばかな・・・何かとおもえばブラストアッシュだと・・・?」

「そんな基本技・・・通じるわけがない・・・」

プレッシングが言う

テリエが剣を振り下ろす

そこにブルーがブラストアッシュを合わせる

真空の刃が放たれる瞬間

無数の突きが真空の刃をかき消した

「な、なにぃ!?」

「な、なるほど・・・放つ直前を狙って・・・」

「しかし、ブラストアッシュでは・・・・」

「!?」

プレッシングが言いかけて声を止めた

ブルーのブラストアッシュの突きの早さは並の早さではなかったのだ

「あ、あれがブラストアッシュ・・・だと・・・・!?」

プレッシングが唖然とした顔をする

「ぬ・・・く・・・!?」

テリエがレーゼルソードで受け止めているが細身の剣でブルーのブラストアッシュを受けきることは不可能に近かった

「才能のない者は、愚直に繰り返すしかないんだよ!!」

ブルーがさらに突きのスピードを上げる

「くそ・・・!!」

テリエが大剣に持ち替えようとする

「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」

その大剣を弾き飛ばし

テリエにブラストアッシュを見舞う

「がはっ・・・」

テリエの両手両足を貫き吹っ飛ばすブルー

「ブ、ブラストアッシュのレベルじゃない・・・!一体あれは・・・!?」

才能がないことで幼少の頃より虐げられてきたブルーは

自分にも使える技を鍛えに鍛えあげていった

周りに馬鹿にされようが煽られようが

自分にはこれしかないと、愚直に、しかし確実に鍛錬を積んでいった

それは何千、何万、何億と、一日も絶やすことなくブラストアッシュを

信じて疑わずに鍛えていった

ブルーの努力の成果でもあったのだ

たとえ威力がなく、華もない技でも

鍛え上げればどんな技をも凌駕することができることを身をもって実践していたのだ













「俺には才能はない」





「だがな」

「己の力に溺れ、道具に頼り」

「努力を忘れたやつに」






ブルーが槍をテリエに向ける


「俺は倒せんぞ!!」