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日も暮れ、辺りが闇に包まれ始めたころ

小屋の中では一同が向き合って話しをしていた

「さぁそれじゃあこれからについて話し合おうか」

ふぎんが言う

「くさいってふぎんさん」

ヘルサスが鼻を押さえる

「仕方ないだろ!!」

一同から笑いがこぼれる

そこに聖騎士が帰ってきた

「あ、おかえりなさい」

「どうだった?」

「街中探しましたが・・・どこにも居ません・・・」

「・・・そうか。アカハナ君、一体どこにいっちゃったんだ・・・」

「まぁ、やつのことですし、場所は知ってるみたいなのでそのうち姿を現すでしょう」

聖騎士も輪の中に加わる













「オホンッ!」

ふぎんが咳払いをする

「現状、このマイソシアの主要都市、ルアス、ミルレス、スオミ、サラセン、ルケシオン、マサイのうち三分の二が敵の手に落ちた。」

「残るはここ、ルケシオンとマサイな訳だが・・・」

「ここもいつまでも安全と思わないほうがいいな」

プレッシングが片目を閉じながら言う

「そうだねぇ・・・なんていってもルアスを占拠されちゃったんだからねぇ・・・」

マリーネが続く

「王都に住んでいた人々はどうなったのでしょう・・・」

メタスが心配そうに話す

「・・・あまり期待はしないほうがいいな・・・」

ブルーも沈痛な面持ちで言葉を出す

「とにかくだ。これからうち達はどうするかだよ」

全員が口を閉ざし、考えをめぐらせる

沈黙を破ったのはプレッシングだった

「決まっている。とられたら取り返すだけだろう」

「だがしかし!相手はあのルアス騎士団をたった数人で制圧したんだぞ!?」

ふぎんがプレッシングに問う

「うかつに動いても返り討ちにあうだけだ・・・」

「ならばどうするんだ。このままここで何もしないよりはいいだろう」

「それを今話しあってるとこだろう?ルアスが心配な気持ちは分かるが少し落ち着こうよ」

「・・・・」

黙り込むプレッシング

「でも一体どうするつもり?私達だけで戦えるとはとてもじゃないけど思えないよ・・・」

風結びが言う

「う〜ん・・・」

「それにアカハナがどこに行ったのかも気になります・・・」

聖騎士が不安げに言う

「そうだよね・・・アカハナ君は一体どこに行っちゃったんだろう・・・」

またしても一同に沈黙の時間が流れる

「このままこうしていても仕方ないね。各自案を練って明日の昼、また話し合おう。」

ふぎんが切り出す

「それぞれ今の状況、自分たちの立場を十分考慮に入れて考えてくれ」

そこで話し合いは一旦解散となった

各自が思い思いの場所に散っていく

それぞれが複雑な思いを抱えながら、夜は容赦なく暮れていくのだった

























一方そのころ天界ヴァルハラでは

「詩琉君・・・どうかしたのかい?」

大神が詩琉に声をかける

「いや・・・すこし・・・」

力なく返す詩琉

「一体どうしたんだい?オーディン様の所に行ってから少し変だぞ。何かあったのかい?」

「いえ・・・何もないのですがね・・・」

「う〜ん・・・」

しばしの沈黙の後

詩琉が口を開いた

「・・・大神さん」

「ん?」

「・・・これから言う頼みごとを聞いてくれませんか?」

「なんだい?」

「私はこれから、ヴァルハラ宮殿の奥にあるヴァルハラ史書を読もうと思います」

「な、なんだって!?そんなことできるわけないじゃないか!」

大神が驚く

「たしかに、今まで誰一人史書を読んだ者はいない・・・ただ、オーディン様とフレイ様を除いて」

「そりゃあ、あれだけ厳重に守られてるからなぁ」

ヴァルハラ宮殿の奥にある図書室には過去の天界戦争の記録など、重要な書物が眠っていた

しかしながらオーディンの指示により、誰にも公開されることなく眠っていたのだ

中にはそんなもの存在しないのではないかと言い出す者もいるほどだ

「どうしても、私の中での疑問が晴れなくて・・・」

「もしもそれが事実だとすれば、私達はとてつもない勘違いをしているのです・・・」

「・・・」

「だから・・・これを受け取ってもらえますか?」

そういって詩琉がひとつの石を手渡す

「これは?」

「今はまだ言えません・・・でも、その石が光り輝くことがあれば迷わず地上に向かって投げていただけませんか?」

「地上に?落とすってことかい?」

「そうです。躊躇などせず、思いっきり投げてください」

「う〜ん・・・良くわからないけど分った!!言うとおりにするよ」

「ありがとうございます」

頭を下げる詩琉

「いやいや。お礼を言われることじゃないよ」

大神が照れながら言う

「それでは・・・一刻も早く確かめなければならないことがあるので・・・」

そう言って宮殿に向かって走り出す詩琉

「お、おい!!詩琉君!!」

「大神さんはここで待機しておいてください!」

しばらくすると詩琉の姿が見えなくなった

「・・・一体何があるって言うんだ・・・」






















(・・・・よし。これなら行ける!)

詩琉が身をかがめて走る

詩琉は夜更けに見事に宮殿の奥へと侵入を果たしていた

警備の兵は甲冑をまとったまま深い眠りについていた

(早くしなければ・・・一刻も早く・・・!)

詩琉が書物庫へと足を踏み入れる

(ここが・・・思っていたよりも数が少ない・・・)

(これなら時間をかけずに見つけられそうだ・・・)

詩琉が書物を探し始める

(ヴァン神族史・・・・神の系譜・・・どれもこれも見たことのない書物ばかりだ・・・)

とそこに一冊だけ埃をかぶっていない本があった

(・・・!!あった・・・!!ヴァルハラ史書・・・!)

(しかも最近、誰かがこの本を手に取っている・・・)

詩琉がゴクッと喉を鳴らす

恐る恐る史書を開いてみる

そこにはとても信じがたいような出来事が永遠とつづられていた

「そ・・・・そんな・・・・!!」

詩琉が思わず声を上げる

「い、今まで・・・私たちは・・・とてつもない業の者に従っていたというのか・・・」

その時

「見てはいけないものを見てしまったわね」

詩琉が後ろを振り向く

そこには豊穣の女神、フレイの姿があった

「あ・・・あああ・・・・」

「詩琉。知らなくていいものを知ったものは例外なく処刑されているの」

「アフロディーテもね」

詩琉の目が変わる

「や、やはり・・!!くっ・・・なんてことだ・・・」

「この天界が混乱なく統治されているのはすべてオーディン様のおかげ」

「その秩序を乱す者には死を!!」

フレイが両手にエネルギーを集める

「貴方は!!」

詩琉が叫ぶ

「このようなことを平然と行うオーディンの傍らで!!何も思わないのですか!?」

フレイが一瞬目を閉じる

「ええ。何も思わないわ。オーディン様こそ唯一の統治者。それに従わないものはすべて私が排除する」

「はあああああ!!エーテルフローズン!!」

フレイが両手に集中させたエネルギーを詩琉に向かって放出する

「うわあああああああああ!!!」

高速に匹敵するスピードのエーテル波を詩琉が避けきれるはずもなかった

薄れゆく意識のなか

「・・・大神さん・・・お願いします・・・」

「切り札は・・・・まだ・・・」

エーテル波が消えるとそこには詩琉の原型をとどめていたものは何もなかった

「・・・」

そのまま無言で姿を消すフレイ

かくして地上マイソシアだけでなく天界ヴァルハラまでもが混乱を極めようとしていたのであった