「なぁ風ちゃん・・・もうそろそろいいんじゃない・・・?」

ふぎんと風結びはサラセンの露店街に来ていた

「たまには付き合いなさい。いつもふ〜くんの浮気許してあげてるでしょ?」

「あ、あれで許してくれているのかい・・・」

「当たり前じゃない。普通なら離婚ものよ!」

「そ、そんなに浮気って呼べることはしてないと思うんだけどなぁ・・・」

「何?」

「いや、なんでもないよ・・・」

ふぎんの両手には何ももてないほどの袋がぶら下がっていた

「はぁ・・・うちはうちでいろいろ見たいものもあるのに・・・」

「あ、みてみてふ〜くんこれ!かわい〜!」

「はいはい・・・もう好きにしてください・・・」

どうやら当分の間、この調子が続きそうである










「・・・さすが魔物の町・・・いい業物があるねぇ・・・」

マリーネとスミレは武器屋に来ていた

「ん〜これもいいけどあれもいいなぁ・・・」

スミレはどれにしようか迷っているようだ

「・・・頼む!店主!!ここにある金でこの剣を譲ってくれ!!」

バンッとカウンターをたたきながらマリーネが店主に迫る

「だめだめ。このくらいじゃ足りないよ。うちの店一番の業物だからね」

店主がプイっと横を向く

「そ、そこをなんとか!!」

「だめだめ」

その様子をみていたスミレはある行動にでた

なんと店主がマリーネに気をとられている隙に店の奥から金をかすめとったのだ

「マリーネさん」

「頼むよ!!・・・ってなんだい?スミレちゃん」

「よかったらこのお金使ってください」

「ほ、本当かい!?これだけあれば買えるけど・・・でも、さすがに悪いよ」

「いいんです。もともとは私のお金じゃないですし」

「??ちょっとよくわかんないけど、すまないね!この恩はきっと返すよ!」

スミレから金を受け取るとカウンターにたたきつける

「店主!これで文句ないだろう!?この業物はもらっていくよ!」

「金さえはらってくれれば商売だしな。いいぜ。もっていきな!」

「よっしゃああああ!!」

雄たけびをあげるマリーネ

「いや、ほんとにありがとう!スミレちゃん」

頭をさげるマリーネ

「いえいえ。いろいろと理由がありますから」

ふふふと笑うスミレ

「じゃあ私もこのダガー買ってきますね」










「ここが邪神を祭っていたという神殿か・・・」

ライトとメタスは神殿に来ていた

「すいませんね、ライトさん。つき合わせてしまって」

「いえいえ、俺も行くところなんてなかったですし、ちょうどよかったですよ」

「しかし、普通の神殿にはない雰囲気がありますね・・」

誰もいない神殿にメタスの声が響く

「やはりこの銅像のせいでしょうか・・・」

ライトとメタスの視線の先にはネクロケスタを模して作ったと思われる巨大な銅像がそびえ立っていた

「大きいですね・・・」

「なんといってもモンスターの信仰を集めていたネクロ教の総本山ですからね・・・」

「本当にこんなもので信仰を集められる時代になったとは・・・なげかわしいものです」

メタスがうつむきながら言う

「大丈夫ですよ。現にこうしてサラセンも取り戻せたじゃないですか」

ライトが肩を叩く

「・・・ええ。私も各地を回って信仰を広めなければなりませんね」

顔を上げながら言うメタス

「そろそろ戻りましょうか。露天街にも行ってみたいですし」

ライト達が神殿から出ようとした時

突如ライトが振り返った

「どうしました?ライトさん」

「いや・・・何かの気配を感じたんですが・・・」

「気のせいですね」

「ここはそういう雰囲気がある場所ですからね。何かを感じても不思議じゃありませんよ。」

「さ、いきましょうか」

神殿を後にするライト

ライトが感じたもの

それは決して気のせいではなかった

誰もいない神殿で、銅像の目が赤く輝きだしたのであった・・・










「あっ、ふぎんさんに風さん」

ライトが露天街で二人を見つけた

「あ、どうも〜」

「や、やぁライト君。いいところに来たね・・・」

何かを期待しているふぎん

「す、すごい荷物ですね・・・」

「ほんとだよ・・・すこし言ってやってよライト君」

「日ごろのストレス発散ですよぉ。荷物もちもふ〜くんが自分からやらせてくれっていってくれましたしぃ」

「よ、よくもそんなウソを・・・」

ふぎんに流し目を送る風結び

「い、いや、なんでもない。それよりメタス君と一緒じゃなかったのかい?」

「メタスさんとは露天街に入る前に別れました。何か見たいものがあるって言ってたので」

にやりとふぎんが笑う

「ライト君。今すぐに追いかけよう」

「えっ?」

「君もにぶいなぁ。ライト君とわざわざ別れて見に行くくらいだよ?」

「も、もしかして・・・」

「ふっふっふ。メタス君も男だってことさ」

「何バカなこといってんの。メタスさんはそんな人じゃないよ」

バシッとふぎんの頭を叩く風結び

「ふっ。女にはわからんものがあるのだよ」

空を見上げるふぎん

「はいはい。ライトさん。まともに聞いてちゃだめですからね」

「は、はぁ・・・」

ライト達が会話をしていると

突如神殿の方向から悲鳴が聞こえてきた

「悲鳴!?」

「む、ライト君、風ちゃん、いくぞ!!」

ふぎんが言う

「わかった!いきましょう、ライトさん」

一斉に走り出すライト達

悲鳴が聞こえてきた現場と思わしき場所が見えてきた

「あ、あれは!?」

そこにはメタスの姿があった

単独でモンスターに応戦しているようだ

「メタスさんが戦っていますね。助けましょう!」

風結びも走る

「くっ・・・なぜプレイアが効かない!?」

メタスが息を切らせながら言う

そのモンスターの姿は先ほど神殿にあった銅像そっくりの姿であった

「仕方ない・・・この騒ぎを聞きつけて仲間が来てくれることを祈るしかないか」

メタスは持久戦に持ち込もうとしているようだ

「メタスさん!!」

ライトが声をかけた瞬間

モンスターの断末魔が聞こえた

メタスが呆然とする

「これは・・・アイススパイラル・・・!?」

モンスターの体には螺旋状に引き裂かれたような跡があった

「あれ!?ライト!?ライトじゃん!!」

元気な女の声がする

声がしたほうに一同が振り向く

そこにはヘルサス、聖騎士、アカハナの姿があった

「へ、ヘルサスさん!?」

「おお、ライトさんじゃないですか。お久しぶりです」

「せ、聖騎士さんも!?」

「じゃあさっきのは・・・」

「そうそう、あたしあたし!」

「す、すごいな・・・あんなすごい魔法を使えるなんて・・・」

「ふふん。あたしもあれから修行したからね〜。」

得意げに笑うヘルサス

三人が会話しているそばでメタスが考え込んでいた

(なぜプレイアがまったく効かなかったんだ・・・?)

(メタスさんは確かにプレイアで応戦していたはず・・・でも効いたそぶりはまったくなかった・・・)

風結びも考え込んでいた

「おいおい、俺達のことも紹介してくれよぉ〜!!」

アカハナが足元にいるイチローを抱えて言う

「ああ、すまんすまん。ライトさん、こっちの戦士が・・・」

各自が自己紹介をする

「あれ?そういえばふぎんさんは??」

ライトがふと気づく

ずるずると今にも倒れそうな勢いでふぎんが歩いてきた

「ひどいよ・・・動けないくらい荷物持ってるのに走っていくなんて・・・」

「自分でいくぞっていってたじゃない」


「ぐぬっ。まあ、そうだけど・・・」

「ふぎんさん・・・相変わらずですね・・・」

聖騎士が苦笑する

「まぁ、ここで話すより場所を移して話ません?積もる話もありますし」

ライトが提案する

「そうだね。ずっと立ってるの疲れるし」

ヘルサスも同意する

「じゃあ酒場にでも移動するか。うちもこの荷物なんとかしたいし・・・」












一同が酒場に向かって歩き出して少しのこと

突如王宮の兵士と思われる者たちがライト達の歩いてきた方向に走っていった

振り向く一同

「なにかあったのかな?」

風結びがつぶやく

「あれだけの人数が動くなんてかなりの大事だろうなぁ」

一同が気にしながらも酒場に向かって歩いていくと

前方からブルーが険しい表情で走ってきた

「どうしたんですか?ブルーさん。そんなに険しい顔して」

ライトがたずねる

「おお、君たちか。いや、実はな・・・」




ブルーがキッと目を開いて言った





「モンスターが攻めてきたんだ」