「うわあああああああああ!!」

海賊の悲鳴がこだまする

ルケシオンより少し離れた海上

その上で海賊とモンスターの壮絶な戦いが繰り広げられていた

「うおおおおお!!」

海賊が勢いよくノカンに突進していく

グルグルと手を回すノカン

「こんな隙だらけの攻撃しかしてこないやつにみんな何やってるんだ!」

ノカンの攻撃をなんなくかわし、背後に回りこむ海賊

「ふんっ!」

ノカンの背中にダガーを突き刺す

ノカンは断末魔をあげることなく息絶えた

その直後

「ぐぁあああ!?」

海賊の背中に吹き矢が6本突き刺さった

ノカン達の船の甲板上部にはニュクノカン部隊が居たのであった

「こ、こういう・・・ことか・・・」

力なく倒れる海賊

「くそ・・・!!お前ら!まじめに戦ってるのか!?」

船長らしき人物が怒鳴り声をあげる

「おかしらぁ・・・数が違いすぎますよ・・・」

「ああん!?お前らがしっかりしてりゃあこんな襲撃も受けなかったんだろうが!!」

「いや・・・おかしらに接近させていいですかって聞いたじゃないですか・・・」

「そのくらいわかるだろうが!この脳なしが!!」

そういって海賊は蹴り飛ばす船長

「ぐっ・・・!」

「俺様を守るためにしっかり戦えや!!全員突撃―!!」

号令を出す船長

「おーーーー!!」

戦場で声があがる

しかし、明らかに人数よりも少ない声であった

その数差は約20倍になろうとしていた

「おかしら・・・もう無理です・・・一旦退却しましょう・・・」

「うるさい!!ノカンどもに俺様が負けるわけないだろうが!!」

そう言って部下を殴る船長

「お前らさえしっかりしてりゃ!!こんなノカン達なんか・・・!」

腕を振りかぶる船長

海賊が目をつむる

しかし

その腕を掴む男が一人

「おい、ええかげんにしとけや!」

「お前は・・・!?」

「バラン船長!?」

そこにはバランの姿があった

その場の全員が驚く

「自分の力量不足たなにあげて部下におしつけんなや、キャメル!!」

そういって殴り飛ばすバラン

甲板に鈍い打撃音が響く

たまらず吹き飛ぶキャメル

「ぐ・・・、なぜお前が・・・!?」

「ふん、ただのきまぐれや」

腕組をしながら言うバラン

「お、おかしら!!」

声を上げたのはバランを呼びにいった海賊であった

「おう、さっきぶりやな!」

「来てくれたんですね・・・」

「勘違いすんなや」

「ただ、こんなとこでドンパチされると街に迷惑かかるさかい、こうやって来ただけや」

キャメルに背を向け前線で戦っている部隊に向けて声をあげるバラン

「お前らあああ!!一旦退却やあああ!!もどらんかいボケえええええ!!!」

最前線で戦っていた海賊達にも確かに聞こえる声であった

「バラン船長・・・!?」

「バラン船長だ!!」

バランの姿に気がついた海賊たちが一斉にバランの方を見る

「はよ戻らんかあああああああい!」

「おい、どうする?」

「このままじゃジリ貧だ・・・」

「それにバラン船長の言うことだし・・・」

その怒鳴り声を受けて退却を始める海賊たち

「貴様、何を勝手に・・・!?」

「うっさい!黙っとけ!!」

「一旦退却するのが一番いいってお前もわかってるんやろうが!!」

しかし、敵がそれを黙って見逃すはずはなかった

ノカンたちが一斉に前に出る

「おかしら!!そんなことをすれば・・・!!」

海賊が焦る

「心配いらへん」

ノカン達が前進を始めた直後

バラン達の船と正反対の方向から突如すさまじい音が響いた

みると花火が上がっている

「あ、あれは・・・!?」

「は、花火・・・!?」

退却を始めていた海賊達も動きを止めそちらを向く

チッと舌打ちするバラン

「おまえらああああああああ!!いいからさっさともどってこいやアホんだらああああああ!!!!」

またしても怒鳴り声をあげるバラン

その怒鳴り声を聞きはっと我に返る海賊たち

そして一斉に退却を開始する

「たのんだでええええ!!」

バランが声を上げる

「イカリをあげろおおおお!退却するぞおおおお!!」

一斉に退却の準備を始める海賊達

ノカン達がそれに気がつく

再び前進を開始しようかというところで

もう一度花火があがる

その花火の上がった地点をみると

そこにはライト、スミレ、二人の姿があった

「うおおおおおお!!!」

ライトが拳に気を集中する

「くらえええ!!」

イミットゲイザーを放つライト

しかし、普段の十分の一ほどの大きさしかなかった

それを上にいるニュクノカンに浴びせる

「うおおお!」

ライトが拳を何度も振るう

そのたびにイミットゲイザーが放たれる

ライトはこの一週間、イミットゲイザーの調整を試みていたのだった

一発の威力は格段に落ちるが何発も連発することができるようになったのだ

イミットゲイザーが甲板の上の階にまたたく間に吸い込まれていく

全弾命中させる技術はライトにはなかったが

それでもニュクノカン部隊の気を引くには十分すぎるほどであった

ニュクノカンが一斉に吹き矢を構える

それに伴い甲板上のノカン達もライトめがけて進軍を始める

そのとき

ライトの方向を向いていたニュクノカンの背後から突如爆発音が響いた

「ほらほら!こっちよ!」

すばやい動きを生かしてスミレが甲板の反対側で爆弾を投げる

それに見事に反応するニュクノカン

甲板上のノカンたちはスミレに気がついていない

「うおおおおお!!」

甲板上でノカン達とライトの接近戦が始まる

「こっちこっち!よーく狙いなさい!!」

甲板の反対側ではスミレとニュクノカンの遠距離戦が始まった

「ぬおおおお!!」

ライトが正面に向かって正拳突きを繰り出す

それを受けてすぐに崩れるノカン

すかさず右後ろ回し蹴りで右側のノカンを蹴り飛ばす

蹴り飛ばされたノカンが後ろのノカンたちを巻き込んで大きく後方にはじかれる

右後ろ回し蹴りの反動で右拳で裏拳を左側のノカンに繰り出すライト

裏拳の威力に体重の軽いノカンが耐えられるはずもなくまたもや後方のノカンを巻き込んで吹っ飛ぶ

少しノカン達との距離があいたところでライトが再び拳に気を集中させる

「はああああ!」

イミットゲイザーを連発するライト

またたくまにノカンの数が減っていく

ノカン達の後ろから一匹色の違うノカンがでてきた

それに気がつき、聖騎士の言葉を思い出すライト










「いいですか、私のロックスキンでは1分30秒が限界です」

「それよりも早く、しかし時間を稼いで、船に戻ってきてください。準備はしておきますので!」






(そろそろ1分・・・あいつの相手をしている暇はないな・・・!)

「せいせいせいせいっ!」

スミレがニュクノカン達に向かって爆弾を投げ続ける

しかし、相手の姿がはっきり確認できていないので命中率は皆無に等しい

そしてすぐに吹き矢が飛んでくる

「っ!!」

すかさず避けるスミレ

(・・・盾もってきたほうがよかったかな・・・)

そう考えつつ袋に手を伸ばし、爆弾を手に取るスミレ

「もうじき一分・・・!そろそろこれを使うかな」

手に取った爆弾はいままでの爆弾と少々形が違っていた

「こっちはおっけえええだあああああ!!」

遠くのほうからバランの声が聞こえてくる

「よしっ!!」

「くらいなさい!」

爆弾に火をつけ、投げ込むスミレ

ニュクノカン達もそれを避ける

しかし、地面に爆弾が接触した瞬間ボンッ!と音を立てて煙が舞い上がった

出発の前にバランから受け取っていた煙幕弾であった

スミレを見失うニュクノカン達

「撤退です!ライトさん!!」

手を出し続けているライトはかなり疲弊していた

「了解です!」

すぐに後ろの海に身を投げ出すライト

よく見るとライトの足元には何かをつないでいるロープがでていた

「ライトさん!すぐにだしますよ!!」

下で待機していた聖騎士がおもしを引き上げる

「スミレさん!!」

「すぐいきます!!」

ノカンたちの後方から大きくジャンプするスミレ

海に落ちる寸前で手にもったダガーでロープを切り落とす

そのまま一回転して船に降り立つ

しかしライトが気になっていた色の違うノカンが海に身を投げ出してきた

船に乗り移るつもりだ

「まずい!!」

構えを取るライト

「はぁっ!」

その様子を見てすぐさまパージフレアを放つ聖騎士

ノカンの動きが空中で止まる

「だします!!」

スミレがオールで船を漕ぐ

「このまま合流地点まで!!」

勢いよくその場をあとにする三人

こうして海賊救出劇は無事成功を収めた















脱出した船の甲板でバランがつぶやく

「さぁ・・・どうやってリベンジしたろうかいな!!!」